人間の体の約20%がたんぱく質でできていて、そのたんぱく質のうちのおよそ30%がコラーゲンと言われています。
美肌を取り戻したい多くの女性にとっていま大きな注目を集めているコラーゲン。
普段わたしたちが飲むコラーゲンサプリや美容ドリンクのコラーゲンは、どのようなものを原料として作られているのでしょうか。
実はコラーゲンは原料によって効果や性質、価格に違いがあります。
今回はコラーゲンの品質や購入価格に大きく関わってくる「コラーゲンの原材料」についてのお話です。

近年のコラーゲン人気の影響からか、コラーゲンの原材料の価格が値上がりしているようです。
この記事ではコラーゲンの原料とメーカーの原料調達事情について調べてみたので紹介していきます。
コラーゲン原料が値上がりしている理由
健康産業新聞によるとコラーゲンの原料価格が高騰しているそうです。

価格が値上がりしている背景には、筋力UPや美容を用途とした世界的なコラーゲンブームによる需要が拡大している事が挙げられます。
特に日本やアメリカでは美肌意識が高い女性が多いからか、コラーゲンが注目されているほか、中国企業までもがコラーゲンペプチドの製造に参入してきていて、原料の価格は昨年比で約1.5倍まで値上がりしていて国内メーカーでも原料の調達に苦労しているそうです。
フィッシュコラーゲンの原料となるテラピアやナマズといった淡水魚はコラーゲンへの利用以外にも食用としても利用がすすんでいるそうなので、今後ますます原料の品薄が続きそうです。
テラピアとは
ナイル川流域などに生息していて、日本には1962年に養殖用として輸入されましたが、現在では自然繁殖して外来種として「その他の総合対策外来種」に指定されています。
このまま原料不足が加速すれば、もしかすると今後コラーゲンドリンクなどの実質的な値上げがあるかもしれませんね。
では次にコラーゲンの種類について紹介していきます。
コラーゲンの種類について
まずはコラーゲンの種類から解説します。
資生堂によるとコラーゲンには現在明らかになっているもので28種類の型があり、それぞれⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型・・・という様に分類されています。
Ⅰ型コラーゲンは皮膚や骨を作るのに必要とされ、Ⅱ型は関節や軟骨などの節々に存在するなど、コラーゲンは身体中に存在しています。
ここではⅠ型からⅤ型までのコラーゲンについて表にまとめてみます。
コラーゲンの型 | 効果など |
Ⅰ型コラーゲン | 皮膚のハリや弾力を与えたり、骨の強度を保つ働きがある |
Ⅱ型コラーゲン | 目の角膜や硝子体に存在 する他、関節部分や軟骨に多く含まれている |
Ⅲ型コラーゲン | 臓器に多く存在しており、臓器と臓器を結合させて柔軟性を保つ |
Ⅳ型コラーゲン | 基底膜の主要な成分で表皮と真皮を結合する働きがある |
Ⅴ型コラーゲン | 血管や胎盤に存在している |

どの型も基本的にはコラーゲン特有の3重らせん構造を維持していますが、型によっては部分的に形を変化させて3重らせん構造になっていないものも存在します。
体内には多くのコラーゲンが存在しますが、そのなかでも一番多いのがⅠ型コラーゲンです。
Ⅰ型コラーゲンは皮膚や骨に存在していますが、特に皮膚の真皮層のおよそ90%がⅠ型コラーゲンが占めています。

ちなみに血管だけでも約7%のコラーゲンが存在していて、生きる為にもコラーゲンは欠かせないものなのです。
コラーゲンの原料にはどんなものがあるの?
コラーゲンの種類は、コラーゲンをつくる為に使われている原料の種類によって大きく2つに分類されます。
- 動物性コラーゲン
- 海洋性コラーゲン
動物性コラーゲンに使われる原料
動物性コラーゲンの原料では牛や豚、鶏が有名です。
人間と同じ哺乳類を原料としているので、人間のたんぱく質と構造が近いのが特徴です。
動物性コラーゲンは牛や豚などの骨や皮を原料として使用するので、カルシウムや脂質が混入しやすいため高純度コラーゲンを抽出しにくいと言われています。
動物性コラーゲンは豚皮由来のコラーゲンが大半を占めています。

海洋性コラーゲンに使われる原料
これまでのコラーゲンは牛や豚、鶏といった動物性コラーゲンが主流でしたが、BSEや豚インフルエンザ、鶏インフルエンザなど度重なる感染症などの病気で家畜や野鳥だけでなく2013年以降は人間への感染も確認されてきました。
そんな中より安全なコラーゲンを抽出できるという理由から現在主流となっているのが海洋性コラーゲンです。
海洋性コラーゲンは魚の皮やウロコを原料として、抽出して作られていて、フィッシュコラーゲンやマリンコラーゲンなどとも呼ばれています。

また、動物性コラーゲンに比べてにおいが少ないので飲みやすいのもメリットのひとつでしょう。
白身魚のタラやカレイ、テラピア、ナマズなどが使われています。
コラーゲン量は原料によって違う
コラーゲンに含まれるコラーゲン量は、精製された原料によって違いがあります。
基本的には動物性コラーゲンより海洋性コラーゲンの原料の方がコラーゲン量が多い傾向があります。
原料 | コラーゲン量㎎/g |
豚肉 | 13.7 |
鶏肉 | 18.0 |
ブリ | 18.7 |
ちりめんじゃこ | 22.2 |
サケ | 27.8 |
コラーゲンの原料価格の違い
コラーゲンは原料によって価格が大きく違います。
例えば、海洋性コラーゲンに使われる魚は天然のものから養殖のものまで様々です。
更に海水魚がけでなく淡水魚や深海魚までいろんな魚が使われています。
当然ですが養殖より天然の魚を使うコラーゲンの方が高価になりますし、魚皮由来とウロコ由来でも違いがあります。
原料の価格を高い順に並べてみるとこうなります。
原料価格はどれが高い?
- 天然の魚皮・ウロコ
- 養殖の豚皮、鶏皮
- 養殖の魚皮・ウロコ

コラーゲンの作り方(精製方法)は?
コラーゲンの精製方法には様々な種類がありますが、コラーゲンを作る代表的な方法を3つ紹介します。
- 酵素法
- アルカリ法
- 加水分解法
酵素法
豚由来、魚皮由来、ウロコ由来に使われますが、この方法では残留酵素が発生してしまうため飲用にする事はできません。
粉末状にしてカプセルや錠剤として飲むことになりますが、粉末を溶かすと酵素臭がきつくてかなり抵抗があり飲みにくくなります。

アルカリ法
こちらも豚由来、魚皮由来、ウロコ由来に使われる方法ですが、こちらは酵素法と違って低分子化されるため臭いもほとんど気にならなくなります。
しかしこちらも粉末状にされ添加物を加えてカプセルに入れるなどして飲む事になりますが、ナトリウムが残留してしまいます。

加水分解法
加水分解法はウロコ由来のコラーゲンに用いられる精製方法で、液体化が可能となります。
煮出し法や高圧法、水熱加水分解法がありますが、煮出し法や高圧法では低分子化ができない上に、パック販売ではカビや菌が発生しやすいという品質面などの課題があります。

品質面で一番高い信頼があるのが、最後に挙げた水熱加水分解法です。
この方法は高い品質のコラーゲンを作る事ができ、低分子化されるため消化吸収性が高くて賞味期限も長いのが特徴です。

コラーゲンの特徴、どの原料がいいの?
動物由来
- 原料素材の価格が安い
- 臭いが残る
- 安全性が高い
- 人間のたんぱく質に近い

魚皮由来
- 原料価格が高め
- 臭いが少ない
- 安全性が高い
- 吸収されやすい

ウロコ由来
- 原料価格が安い
- 臭いが少ない
- 一番メジャーなコラーゲン
- 吸収されやすい



それぞれに特徴がありますが、人間のたんぱく質に似た構動で選ぶなら動物由来一択になりますが、飲みやすさで選ぶ場合は魚皮由来で、価格と品質のバランスで選ぶならウロコ由来がおすすめになります。
まとめ
コラーゲンの原料には動物性コラーゲンと海洋性コラーゲンがありますが、原料不足となっているのは魚皮やウロコを原料とする海洋性コラーゲンなので、豚皮などを原料とする動物性コラーゲンの方は今のところ問題は無いようです。
とはいえ、海洋性コラーゲンは【美肌効果を期待できる】 コラーゲンドリンクやサプリに多く利用されているので今後商品の値上げなどがないか心配ですね。
ここまでコラーゲンの原料の種類について書いてきましたが、わたしたちが飲むコラーゲンの価格は、原料の価格によって決まってきます。
高価なコラーゲンなら絶対に効果があるというわけではなくて、どのコラーゲンが合っているかは個人差があります。
コラーゲン選びの際に「このコラーゲンの原料は何かな?」なんて考えながら、あなたにぴったりなコラーゲンを見つける参考にしてみて下さい。